妖怪うぃき~現代にも現れる妖怪達~

妖怪……いるんですよ、現代にも。現代で起きた、妖怪達の目撃情報を紹介いたします。

放置しすぎて更新する気概も無いので、図鑑の方に統合し始めてます。過去の記事も一部図鑑へと移しているので、妖怪うぃき的妖怪図鑑の方へお越しくださいませ。

姑獲鳥と産女とうぶめ

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うぶめ/姑獲鳥/産女

 

京極先生より妖怪に興味を持った方にはよく知られているであろう「姑獲鳥」。

僕も何度も姑獲鳥で記事を書こうと思ったのですが、やっぱりこれまたややこしい妖怪なのでスルーしてました。

しかしついに重い腰を上げ、姑獲鳥の謎を僕なりに書いてみたいと思います。

(京極堂の姑獲鳥考察が読みたければ姑獲鳥の夏 をどうぞ。よく考えれば、京極夏彦という人は超ややこしい姑獲鳥をテーマにした小説を最初に書いて文壇デビューしたわけで、最近ほんとにつくづく恐縮夏彦です)

 

さて、姑獲鳥という妖怪をよく知らない方は、絵を見てまず「鳥じゃねぇじゃんか」と思うでしょう。最初の謎にして最大のはてなポイントです。

実は姑獲鳥は、日本で古くから「産女」として親しまれていました。この方が読み方も自然ですね。

例えば以前も書いた、頼光四天王の一人、卜部季武(うらべのすえたけ)が川で出会ったのは「産女」です。

産女がどういう妖怪か? というのは各地でかなり違っていますが、最初の行動だけは基本的に同じです。通りがかった者に、抱いている赤ん坊を渡そうとするんですね。それを受け取った者は力を得る、とか、帰ってみればただの石を抱いていた、とか、その後の展開は様々なようで。とにかく産女は、出産に纏わる妖怪として古くから言い伝えられていたようです。

 

一方、中国に姑獲鳥という鬼神がおりました。

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↑は和漢三才図会より『姑獲鳥』。

こっちは読みがこかくちょう。そのままの読みです。この鳥さんは夜に現れ、子供を攫ったり、自分の子供として奪っちゃったりする悪いヤツ。

姑獲鳥は、毛を着ると鳥の姿になり、毛を脱ぐと女性になると言われています。また、中国の古書に、姑獲鳥は出産で死んだ妊婦が化けたもの、という記述もあります。

ここまで見ると、姿には共通点が少ないですが、逸話にどことなく日本の「産女」との共通点が見られますね。

そして、茨城県には中国より持ち込まれた知識が元になっている、とされている「ウバメトリ」という妖怪が言い伝えられています。ウバメトリは中国の姑獲鳥とほぼ同じ特性を持っているので、きっと中国伝来なんでしょう。

ウバメトリが元凶かは解りませんが、江戸時代になると遂に「産女」と「姑獲鳥」が妊婦さんに関する伝承を持つモノとして同一視されるようになります。宗教関係でも、妖怪関係でも、この「同一視」という言葉はよく出てきますよね。元を辿れば全然違うのに、なぜか一緒にされちゃう不思議な現象。中国と日本だから有り得た現象でもあるでしょう(漢字とか、色んな共通点があるから、って意味で)。

 

しかし姑獲鳥をうぶめと読むには無理がある。そこでワンクッションになっているのが茨城産のウバメトリではないでしょうか?

ウバメトリは、ほんの少しだけ中国の姑獲鳥とは逸話が異なり、

「夜に着物を干すと、それを自分の子供の着物と勘違いして毒入りの乳を目印として着物に付ける」ンだそうです。

中国オリジナルにも微かにあった妊婦との関係性がやんわりと滲み出ている感じの伝承。ウバメトリはカタカナ表記ですので想像するしかないのですが、奪う鳥という意味だったかも知れないし、乳母鳥だったかも知れないし、また両方の意味を備えていたかも知れません。

とにかく何か色々あって(適当www)、江戸時代にはこのブログでもお馴染みの石燕先生なんかは、

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↑ご覧の様に「姑獲鳥」と書いて「うぶめ」とふりがなを振っております。

いやぁ~、ややこしい!

因みに、石燕先生の絵を見てて思ったのですが、子供&女性が関わる逸話を持つ妖怪でこの姑獲鳥の絵的女性が描かれてるのに気が付きました。まだ更に深い意味があるのかぃ石燕先生!?

例えばコレ↓

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また、姑獲鳥は大体川や雨に打たれる姿で描かれます。石燕先生のなんかは両方です。卜部のすえたけさんが産女と遭遇したのも川です。

これに関してもちょっと気になって調べたんですが、はっきりとした理由は解らなかったものの、恐らくは「流れ灌頂(ながれかんじょう)」という儀式が関係してるのではないかと。

この儀式は、水死者や妊婦さんが出産で死んだ際に卒塔婆等を川に流して供養するという若干呪術めいた儀式のようです。

また、古くから神聖な場所や火のある場所は女性を入れないという風潮もあったようで、それも関係してるのかも。

――故に妊婦の霊が水辺に出る、というのはなかなか自然な解釈だと思うのですが。。。

他にも濡女と一緒説とかありますが、そこらへんは知識不足でまた今度にさせてごめんなさいお願いします。 

 

wikiも当然参考にしたのですが、最近でも目撃例がある! という衝撃的な記述がありました。

なんでも静岡市の産女という場所で女性が車でキッズの群れに突っ込み、ガードレールに激突した凄惨な事故だったようですが、ドライバーの女性は「変な老婆が立っていた」と証言したとか。

地名ももろだし……キッズに突っ込んでるし……え……怖い……。

 

さて。

魍魎にしろ、姑獲鳥にしろ、酒呑童子にしろ、河童にしろ、

とかく歴史がややこしい妖怪のこと調べてると本当に頭がこんがらがって憑かれたようになります。いつも。

例えばこの姑獲鳥記事だって、一体どうすれば記事を終えられるのかがわからない。

正体は!――とかっていうわけでも無いし、

つまり! ――とまとめられそうにも無いし……。

 

そんな時には奥の手です。

そう、人間なら誰もが使える逃げ口実。

 

おやすみなさいッ!