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妖怪うぃき~現代にも現れる妖怪達~

妖怪……いるんですよ、現代にも。現代で起きた、妖怪達の目撃情報を紹介いたします。

放置しすぎて更新する気概も無いので、図鑑の方に統合し始めてます。過去の記事も一部図鑑へと移しているので、妖怪うぃき的妖怪図鑑の方へお越しくださいませ。

妖怪金槌坊に割られてたまるか

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金槌坊(かなづちぼう)

 

浪速のタカシだぞ。

……すまん、出身は埼玉だ。許せ。

 

今日は、彼女が俺に霊媒師を勧めるきっかけになった妖怪のこと書くわ。その妖怪がいたから、今こうして書いてるわけだからな。

 

俺は今、その彼女と同棲して二年になるんだが、同棲し始めってのは何かと楽しいだろ? それを知らない奴は「爆ぜろ!」とでも念じててくれ。

ーーで、やっぱり俺らも楽しかったわけだ。無駄に家事の分担表とか作ったり、結婚資金用貯金箱とか買っちゃったりな。

ーーその貯金箱の話なんだが、可愛い昔ながらの豚の貯金箱買ったんだよ。陶器のやつな。毎日五百円玉を交互に入れて、百万円貯めようねー、なんて言いながらな。

その貯金を始めて、一ヶ月ぐらいかな。朝起きたら、豚の貯金箱の真上に、金槌構えた妖怪がいやがったんだよ。その日彼女はもう仕事行っちゃってたから、部屋には俺と金槌の妖怪だけ。

「やめてぇ!」って、寝ぼけながらに思わず情けない叫び声上げちゃったよ。だってまだ買ったばっかだし、大して貯まってないんだぜ? 

でも妖怪は、まさに今叩き割ろうとしてるーーって格好だったから、俺は自分の顔を手で覆って割れる瞬間を見ないようにしてたんだ。

けど割れる音が聞こえない。

恐る恐る指の間から妖怪見てみたら、さっきと変わらない姿勢のままだ。金槌振りかざしてるけど、振り下ろさない。

待てよ?

って閃いたね。こいつ、さてはそうやって脅かすだけの妖怪で、振り下ろさないんじゃなくて降り下ろせないんじゃね? 

俺はゆっくり、金槌妖怪に近付いてったんだ。けど仮説が間違ってたら割られちゃうだろ? デコピンされる直前みたいな厭な感じがずっとあったな。ゆっくり、ゆっくり近付いて、妖怪の真横に辿り着いて、俺は静かに金槌に手を伸ばしたんだ。奪っちまおう、って思ったんだよ。

そしたらその瞬間、金槌妖怪が俺の方を「キョロ」って見たんだよ。姿も仕草もキョロちゃんだよな。訴えられちまえ。

たら……グシャリン!

ーー割られたんだわ。もうほんとなんなのコイツ? って感じで怒りとショックで立ち尽くしちゃったよ。意地の悪さがおぞましい。

思い切り貯金箱を粉砕できて満足したのか、金槌の野郎すぐにすぅっと消えちゃったんだ。でもマジで何の為に出てきたんだ? って感じだよ。

 

帰ってきた彼女はまぁ怒ったね。

妖怪の事は話してたし、少しは理解してくれてたんだけど、流石に自分にも関わる実害があったとなっちゃ黙っていられなかったみたいでな。ただ一個だけ理解できないことがあったんだけど、割れた貯金箱を見た彼女、一瞬だけすげぇ嬉しそうに笑ったんだよな。――その直後ブチギレたんだが。

ーーで、例の胡散臭い霊媒師のとこに行ったわけだ。俺の彼女、昔っからオカルトな事が好きで(そのお陰で俺みたいな奴と付き合ってくれたわけなんだけど)とにかく霊媒師とか占い師を色々知ってたんだよな。そんで俺に色んな妖怪が憑いてることが発覚した、というわけだ。

 

因みにこの金槌坊、やっぱり俺に取り憑いてるぞ。理由は、貯金箱事件のすぐ後に、小さい金庫を買ったからだ。

事件の後も何回か金槌坊は俺のマンションに現れたんだが、金庫は流石に叩き割れなかったみたいでな。たまぁに金庫を必死こいて割ろうとしてる金槌坊を見たけど、内心大爆笑だったな。

ーーただ、霊媒師曰く、それが原因で憑いてるんじゃないらしい。

他に心当たりと言えば……

その金庫にキョロちゃんのステッカー貼りまくってることぐらいかな?

まさかそんなことで妖怪が怒るとも思えないし。いや、でもまさか……気にしてんのかな?

 

あと、霊媒師をなんとなく信じてやるようになったのも理由があって、この金槌坊が何で俺のマンションに現れたのか教えてくれたからなんだよ。

なんとだな、金槌坊を俺のマンションに呼んじゃったのは、俺じゃなくて俺の彼女の方だったみたいなんだよ。

金槌坊って、慎重さの権化みたいなヤツらしくて、ほら、「石橋を叩いて渡る」とかって言うだろ? コイツはそれを体現しちゃったようなヤツなんだってさ。

で、俺の彼女、貯金箱が陶器だからって、割れないかどうかめちゃくちゃ心配してたんだとさ。それこそ病的な程に。そう簡単に割れないっつぅの。

この金槌坊、慎重になり過ぎてる人間がいると、助けにも来てくれるらしい。優しい妖怪だよな。そんなに慎重になるタネがあるのなら、代わりに割ってやろう、ってわけだ。慎重どころか豪胆じゃねぇかおい。そこんとこどう言い訳すんだ?

よく「割りたい願望」に憑りつかれることあるだろ? あれもコイツのせいらしい。割っちゃいけない! って慎重になればなるほど、割りたくなるアレだな。

……そう考えると、コイツって慎重もクソも無くってただの壊し屋なんじゃね? なんて新説唱えてみたり。

 

因みに、俺の彼女がどうしてそこまでブタの貯金箱の心配してたか聞いてみたんだけど、

「だってタカシと私の未来が入ってるんだもん」

だってさ。

じゃあ俺らの未来は粉々だな――って言ったら引っ叩かれた。

女に対してこそ、石橋を叩いて渡るぐらい慎重になんないとイタイ目に遭うよな。マジで。