妖怪うぃき~現代にも現れる妖怪達~

妖怪……いるんですよ、現代にも。現代で起きた、妖怪達の目撃情報を紹介いたします。

放置しすぎて更新する気概も無いので、図鑑の方に統合し始めてます。過去の記事も一部図鑑へと移しているので、妖怪うぃき的妖怪図鑑の方へお越しくださいませ。

山荒(やまあらし)のジレンマ

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山荒(やまあらし)

 

――だがしかしタカシだぞ。

 

今日はちょっと胸がチクチクする、ある妖怪との話だ。

 

散々俺に迷惑かけまくってる妖怪だが、たまには可愛いヤツもいるんだ。

ハタチ頃、俺の実家辺りで出会った山荒っつぅ妖怪がそれだった。因みに山荒は俺に取り憑いて無いんだが、ふと思い出したから書いとくわ。

 

ヤマアラシっていう針を持ったビーバーみたいな動物もいるが、それとは全然別だ。多分、針があるのを見て昔の誰かが同じ名前付けちゃったんだろうな。動物のヤマアラシよりは妖怪の山荒の方がずっとキモい。

なるべく柔らかに伝えれば、針の生えたキンタマだな。かなり的確だぞ。

確か草むらに隠れてるのを見つけたのが出会いだったな。一目見て吐きそうになったよ。キモいからな。

いつも通りすぐに妖怪だってピンときたんだが、何しろキモいからスルーしたんだ。そしたら可愛くちょこちょことついて来たんだよ。身体は針キャン玉だが、顔は禿げたおっさん風だから、ギリで愛着沸いてきたんだ。

家までついて来ちゃったから、仕方なく俺の部屋にかくまうことにした。どうせ母ちゃんとかには見えないしな。

しかしここで問題発生だ。

抱き上げてやろうとして手を差し出したら、山荒のヤツもひょこひょこ寄って来たんだけど……めちゃめちゃ針がイテェの。

普通の痛みじゃないわけ。こればっかしは伝わらないと思うんだけど、妖気? みたいのが刺さるような痛みもプラスされて、とにかく痛いんだよ。あまりの痛さで、俺はついキレちゃって山荒の針を掴んで地面に叩きつけちゃったんだ。

 

――その後なんとか部屋まで誘導したんだけど、なんか切ない感じだったな。

理由は、今のと同じだよ。

山荒のヤツは俺になついてすぐに近寄って来るんだ。俺も段々可愛くなってきたから遊んでやりたいんだけど、ちょっとでも触られると激痛だろ? で、毎回怒りで叩きつけちゃうんだ。

 

ヤマアラシのジレンマって聞いたことあるか?

ヤマアラシ二匹が、寒さを凌ぐ為に寄り添いたいのに、お互いの針が邪魔で近づけない、っていう有名な話だ。

まさにソレだよ。妖怪の山荒でも同じジレンマが起きてる。

この話は大学の時に講師が言ってたんだけど、これには続きがあったんだ。

「――では、実際にヤマアラシはどうしているかと言うと、針の無い頭をくっつけ合って温めあっています」

そうなんだよ。頭には妖怪の山荒も針が無い。だから俺は、山荒がすり寄ってくる度に頭をくっつけてスリスリしてやったんだ。

 

可愛かったぞ。俺の山荒への愛情も日に日に増してった。

スリスリするだけじゃ物足りない。

だから出会って一週間経った頃には、思い切り頭突きしてやってた。

頭突きするとな、キンタマみてぇな体を嬉しそうに震わすんだよ。可愛いだろ?

――でもある日、頭突きした時に「パキ」って音がしたんだ。山荒の頭からだぞ。……で、それが最後になった。次の日起きたら山荒は消えてたな。

 

でもな、今までの流れだとそれで怨まれて憑りつかれそうなモンだろ? でも山荒は違ったんだ。多分、アイツも俺のこと好きだったんだろうな。

山荒のジレンマを乗り越えたのに、乗り越えたからこんな事になっちゃったのかも知れない。

やっぱりジレンマはジレンマのままだったのかもな。

 

……今回はオチもクソもねぇぞ。珍しくオセンチになちゃったからな。

みんなも道端でキンタマ拾ったら大切にするんだぞ! じゃあよ。