妖怪うぃき~現代にも現れる妖怪達~

妖怪……いるんですよ、現代にも。現代で起きた、妖怪達の目撃情報を紹介いたします。

放置しすぎて更新する気概も無いので、図鑑の方に統合し始めてます。過去の記事も一部図鑑へと移しているので、妖怪うぃき的妖怪図鑑の方へお越しくださいませ。

ひょうすべ脱毛大作戦

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ひょうすべ

 

月に代わってお仕置き――

 

よっ。タカシだぞ。

 

俺に憑いてる妖怪の中で、ハッキリ言って反省すらしたくない程にイラつく妖怪を今日は紹介するわ。

何故か、見たら死ぬとか、救われる方法は無いなんて風説のせいでかなり恐ろしい妖怪になっちゃってる「ひょうすべ」の話だ。

なんでも河童の仲間だとか、中国の神様が由来だとか、色んな説があるみたいなんだが、実際に被害被った俺から言わせればタダのニヤケじじいだぞ。マジで。

こいつは俺が妖怪見えるようになってから、毎年遭ってたから本当によく覚えてる。

何が迷惑ってな、ひょうすべのやつ、絶対風呂に出るんだよ。ゴキなんか比じゃないウザさだぞ。何しろ毎回風呂に浸かってるんだからな。

母ちゃんに「お風呂湧いたよぉ」とか言われてさ、一番風呂だぜ! って風呂場行ったらコイツがニヤニヤしながら風呂入ってるんだぞ?  俺がドラえもんだったら一ヶ月ぐらい押入れに篭っちゃうレベルの衝撃だぞ。眼が合ったら死ぬとかは無かったし、そもそもひょうすべなんて名前も知らなかったから、ただただ不快だったね。

で、そんな時俺はどうするかっていうと、何の迷いもなく風呂桶でぶん殴るんだ。そうすれば風呂に沈んで消えてくれるんだけど……こいつ、抜け毛が半端じゃないんだよ。頭はハゲてるくせに体毛だけはモシャモシャでさ、どういうホルモンバランスだとああなるんだよ。

で、コイツの凄い所は、何回風呂桶で撃退してもかなりの頻度でまた出るんだよ。母ちゃんはまさか妖怪なんて信じてないから、毎回俺が必死こいて抜け毛掃除する羽目になるんだよ。な?  クッソ迷惑だろ?

俺は色々試したよ。風呂桶じゃなくて固い灰皿で殴ってみたり、逆に一緒に風呂入ってみたり。でもリアクションは一緒だったんだ。ニヤニヤ笑ったまま沈んで消えてく。もういっそ沈む瞬間に追いかけて潜ってやろうかとも思ったよ。そしたらなんだか物凄い水流に飲み込まれて、命からがら水面に出てみたらローマだった――みたいなテルマエな展開になるかもしんねーしな。ねぇよバカ。

ひょうすべとの激闘が長くなるにつれ、母ちゃんが本気で俺を心配するようになってきてさ。風呂上りとかに「ストレスとか溜まってるの?」なんて、気ぃ使った感じでよく聞かれるようになったんだよ。俺の抜け毛だと本気で思ってたわけだ。こうなるともう俺も本気で撃退しなきゃヤバイ。そこで天才タカシが思いついたのが、抜ける毛を失くしちゃえばいんじゃね? ってことだった。

ズバリ、「ひょうすべ脱毛大作戦」だな。

俺ん家の風呂は一階にあって、ちっちゃい窓が風呂場に付いてたんだよ。そこは丁度浴槽の真上だから、そこからこっそりひょうすべの背後を取れる、と踏んだわけだ。

ひょうすべの毛を抜く為に俺が用意したのは、貝印の毛抜きと、ガムテープだ。

なんか知らんが、貝印社製品に俺は絶対的な信頼を置いてるんだ。理由は、ただ使いやすいからってだけだ。ステマじゃねーぞ。けど今振り返ればどう考えたって効率悪いよな。ガムテープの方がいいに決まってる。

実際、その作戦を決行した時、現場で俺は貝印の毛抜きを使うのを止めた。当たり前だ。

決行したとき、案の定ひょうすべの毛むくじゃらの野郎はのほほんと湯船に浸かってやがったんだ。で、俺は静かに窓を開けたんだけど……ひょうすべの背が思ったより低くて、全然手が届かなかったんだよ。ガムテープをさ、背中の毛にベリっと貼りつけたかったんだけど、頭にすら届かねぇの。

もうムシャクシャしてきちゃってさ、もうなんでもいいから嫌がらせしてやろうと思って、自分の鼻毛を毛抜きで抜いて、それをガムテープに貼りつけて、さらにひょうすべのハゲ頭に落としたんだよ。

ペタ、って俺の鼻毛付きガムテープがひょうすべの頭にひっついた。

もう俺は大爆笑だったね。

そしたら俺の声に気付いたひょうすべがゆっくりこっち見たんだけど……すんげぇ怖い顔になってたんだよ。鬼だったな。

んがしかし!

そこでビビル俺じゃねぇよ。

何これぐらいでキレてんだ? って感じだよな。俺はハッキリと言ってやった。

「お前が俺にしたことは、もっと酷くてイヤなことなんだぞ」ってな。

妖怪だから一方的に人を困らせていいなんて法律はこの世界にゃねぇよ。勝手に人んちの風呂入って抜け毛まき散らす奴がこの程度で逆ギレしていいわけねぇよな。

そしたらひょうすべ、急にまた元のにやけ顔に戻って、「ヒョウ」って鳴きやがった。どういう意味かわかんなかったし、ちょっとキレてた俺は、

「ヒョウ? 日本で沸いたなら日本語喋りやがれコンチクショー! 意味わかんねぇ言葉で誤魔化すんじゃねぇ!」 って捲し立てちゃったんだわ。

それで――いつものようにニヤニヤしたまま沈んで消えて、それ以降全く現れなくなったな。

 

それからしばらく忘れてたけど、俺に憑いてる妖怪の中にひょうすべもいるって知った時、またまた俺はむかついたね。正論言っただけじゃんか。それともアレか? やられたらやり返す的だった俺の行動が癪だったのか? 

 

けどな、最近俺は霊媒師にひょうすべが怒ってる理由聞いてちょっと反省したんだ。

ひょうすべのヤツ、手が短いから頭のテッペンは触れないんだってさ。

つまり……俺の鼻毛ガムテープが取れないらしいんだ。

なんか……悪かったな……。