妖怪うぃき~現代にも現れる妖怪達~

妖怪……いるんですよ、現代にも。現代で起きた、妖怪達の目撃情報を紹介いたします。

放置しすぎて更新する気概も無いので、図鑑の方に統合し始めてます。過去の記事も一部図鑑へと移しているので、妖怪うぃき的妖怪図鑑の方へお越しくださいませ。

火消婆より早く ~ケーキに灯った火をあなたに~

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火消婆(ひけしばば)

 

3歳の時からずっと――私は一度も誕生日に出されるケーキのロウソクの火を消したことが無い。

どんな時にも、私が火を吹き消そうとすると「火消婆」が僅かな差で私よりも先に火を消してしまう。

お母さんや、お父さん、それにおばあちゃんにも、火消婆の姿は見えないらしい。

でも私には見える。

私が息を吸い込んで、吐き出そうとする直前、どこからともなく鬼のような顔の火消婆が顔を出し、ふぅ、と火を消してしまう。

火消婆の吐く息には特別な力があるんだと思う。

どれだけ離れていても、火は必ず消えてしまう。

でもなぜ?

なぜ私の誕生日だけに現れるの?

 

5歳の時には家の外の塀から顔を出し……ふぅ。

 

10歳の時には沢山の友人の中に紛れて……ふぅ。

 

18歳の時にはケーキをくれた彼氏の肩越しから……ふぅ。

 

私だって負けてなかった。

 

19歳の時にはショートケーキにロウソクを一本だけ立て、火を点けると同時に吹き消そうと試みた。けれども火を点けた瞬間天井に張り付いていて……ふぅ。

 

20歳の時にはカラオケ内にて友人とケーキ。ここなら平気かと思ったのに、ロウソクを立て、火を点けようとしたら……火災報知器。

 

23歳の時には会社内オフィスにて同僚がサプライズケーキ。ここなら平気と思い切り吹き消そうとしたら、向かいのビルの一室から……ふぅ。

 

スナイパーですか?

恨みでもあるんですか?

前世の私が、誕生日のケーキの火が服に引火して焼死――等の事件があって守ってくれてたりするとかですか?

 

とにかく不快で謎だった。

夢にまで、火消婆の火を消す際の満足そうな顔が現れてうなされるほど。

 

しかし去年。

私は新たな策として、ケーキを二つ用意し、それぞれに一本ずつロウソクを立て、火を点けた。さらにケーキ同士は離して置く。

これなら流石に消せないだろう。

そう思い、片方のケーキの火を消そうと息を吸うと……火が消えない。

私はすぐにもう片方のケーキを見た。すると火は消えている。

あれ?

私はもう一度、私の前のケーキを見る。火は点いている。

試しに消そうと息を吹きかける。

!!

消せた!?

物心付いてから、一度も消せなかった誕生日のケーキの火。

それが消せた。

本当にうれしかった。些細なことだけど、私にとってはとても大事なこと。

火消婆は私の邪魔をしているわけではなかったのか?

その時、私は閃いた。

 

火消婆も私と同じ誕生日なのでは? と。

 

それに気付いてから(当たっているのかはわからないけれど)、毎年ケーキは二つ、ローソクもそれぞれに立て、火消婆と仲良く一本ずつ火を消すようにしている。

一つだけ気になるのが、古来より存在し続けている火消婆さんは、一体何歳なのか? もし年齢の分ロウソクを立ててあげるとするなら、何本必要になるのか?

いや、この勘繰りは野暮。

火消婆もレディ。年齢なんて恐れ多くて聞けない。

因みに私はもうじき18歳。来年も18歳。……ウソ。