妖怪うぃき~現代にも現れる妖怪達~

妖怪……いるんですよ、現代にも。現代で起きた、妖怪達の目撃情報を紹介いたします。

放置しすぎて更新する気概も無いので、図鑑の方に統合し始めてます。過去の記事も一部図鑑へと移しているので、妖怪うぃき的妖怪図鑑の方へお越しくださいませ。

旧鼠猫を育てる

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旧鼠(きゅうそ)

 

千葉県に住んでいたと思われる(内容より推測)女性の日記より抜粋

 

「たまゆき日記」

 

1985・2月4日 曇り

今朝、裏庭で大きくて真っ白な可愛いネズミを発見。ウサギと見紛う程の大きさで、図鑑にもこんな大きなネズミは載ってない! お母さんに何度も頼み込んで、晴れて我が家の仲間入りすることになりました! じゃじゃすけ(ネコ)と仲良くやってくれるか心配ですが、こんな可愛いネズミは見たことがないので大切に育てます!

まあるい玉のようで、雪のように白いネズミなので『たまゆき』と命名しました。

 

 

2月20日 雪

驚く程に相変わらずじゃじゃすけとたまゆきは仲が良いです。そして今日は雪。もう今年は降らないと思っていたけれど、今もしんしんと降ってます。たまゆきは雪みたいな姿のくせに、家の中で縮こまっているだけ。一方のじゃじゃすけは元気よく駆け回ってます。ネコはコタツで……はウソみたいです。

 

 

4月15日 晴れ

じゃじゃすけが発情期に入ってしまったみたい。一週間ぐらいは眠れぬ夜になりそう。前回も頻繁に外に出て行っちゃってたし、やっぱり不安。でも去勢手術はまだ不安定とのうわさを聞くのでできれば避けたい。たまゆきが何らかの抑止になってくれるといいんだけど。

 

 

5月1日 雨

じゃじゃすけが帰って来ない。これでもう三日。こんなの初めてなのですごく不安。明日もまだ帰らないようなら、捜索願いを出すつもり。

 

 

6月7日 晴れ

奇跡。たまゆきが子猫を4匹連れてきた。まるでたまゆきを母親だと思っているかのように、子猫がたまゆきの後ろをとことこと。じゃじゃすけの子に違いない。じゃじゃすけは帰ってこないけれど、きっと神様が子供をここに連れてきたんだと思う。

 

 

7月4日 雨

本当に不思議でしょうがないのだけれど、今日もたまゆきは子猫達にエサを与えている。鳥の死骸や、残飯など。なぜか私が与えるエサは子猫には分けず、たまゆきが全て食べてしまう。不健康な物だと分かるのかな? ネズミが猫を育てる……こんな奇跡もあるんだ。

 

 

7月16日 荒天

雷が凄い。子猫達も怯えて、たまゆきの傍にぴたっと寄り添っている。可愛い。

じゃじゃすけにも見せてあげたかったな……。

 

 

8月4日

たまゆきを追い出した。

 

なぜ追い出してしまったのか。

 

殺してしまうべきだった。

 

まだ心が落ち着かない。

 

混乱している。

 

今さっき、私は寝ていて、子猫の声がうるさいから見に行くと――

 

 

 

たまゆきが子猫を食べてた。

 

 

 

しばらく呆然と見てしまった。

 

我に返って近寄った時には、最後の一匹の上半身が無くなっていた。

 

わからない。

 

なんだか――何が――もう――わからない――

 

 

 

 

1986・3月5日 晴れ

もう忘れかけていたのに、思い出してしまった。

今日話した神主さんはいった。

「旧鼠という、長い長い年月を生きるネズミの妖怪がおります。彼らは天敵であるはずの猫を喰らい、精をつける。窮鼠猫を噛む――の語源にもなっている有名なもののけです」

 

全て、最後には喰らう為に行われた子育てだったのか。

じゃじゃすけももしかしたらたまゆきに食べられてしまったのではないのか。

もうどうでもいい。この日記も終わり。私の苦痛も、これと一緒に終わりにしたい。